癌のご相談
癌は、細胞の遺伝子に変化が生じ、増殖を制御する仕組みが働かなくなることで発生する病気です。治療には手術、放射線療法、薬物療法などがあり、癌の種類や進行度、身体の状態に応じて選択されます。鷺岡漢方堂薬局では、癌の治療中や療養中の体調について、漢方の観点からご相談をお受けしています。治療内容や服用中のお薬を確認し、一人ひとりの状態に合わせてご提案します。

1.癌とは
癌細胞は、通常の体細胞から変異して生じた異常な細胞です。癌細胞が身体に及ぼす主な影響について説明します。

細胞の変異
体細胞が癌に変異するメカニズムは、多くの場合、遺伝子の変化や環境など、複数の要因が複雑に関わった結果です。
- 遺伝的変異
- 遺伝子の変異は、DNAの構造や配列に変化をもたらすプロセスです。 これには、ゲノムの変異、遺伝子のコピー数変動、染色体異常などが含まれます。
- 細胞が癌に変異する主なメカニズムの1つは、腫瘍抑制遺伝子(例:p53、BRCA)や発がん遺伝子(例:Ras、HER2)など、DNA修復や細胞増殖を制御する遺伝子の変異です。
癌が増えていくメカニズム
- 異常な増殖と分裂
- 癌細胞は通常の増殖を制御する仕組みが働かなくなり、増殖および分裂を続けます。これにより、腫瘍(腫れや塊)が形成され、周囲の組織に圧迫をかけます。
- 腫瘍の形成
- 癌細胞は周囲の組織に入り込んで広がることがあります。これを浸潤といいます。
- 転移
- 癌細胞は、血管やリンパ管を介して他の部位に移動することがあります。
このように、最初に発生した場所から離れた組織や臓器に広がることを転移といいます。 - 免疫による攻撃の回避
- 癌細胞は免疫系からの攻撃を回避して増殖することがあります。
- 血管新生の促進
- 癌細胞は、新しい血管を形成する過程である血管新生を促進することがあります。これにより、腫瘍は酸素と栄養が供給され、成長を続けることができます。
- 代謝の変化
- 癌細胞は通常の細胞と比較して代謝が異なり、異常な量の栄養を消費します。これにより、体内の栄養供給が乱れ、体重減少や体力の低下などの症状が起こることがあります。
- 癌細胞のこうした性質により、癌は身体に様々な症状や合併症を起こし、重大な健康問題となります。治療法には手術、放射線療法、化学療法、免疫療法などが含まれます。
2.癌の原因について
癌の原因は複雑で多様であり、一つの特定の原因では説明できないことが一般的です。癌の主な原因やリスク因子について説明します。

癌の原因として考えられているもの
- 遺伝的関与
- 一部の癌では、生まれつきの遺伝子の変化が発症リスクに関係します。血縁者に同じ種類の癌が多い場合などは、医療機関でご相談ください。
- 環境上の懸念
- 環境中のさまざまな物質や放射線が癌の原因となる可能性がある。 例えば、タバコの喫煙は肺がんの主要な原因の一つであり、紫外線は皮膚がんのリスクを増加させることが知られています。
- 感染症
- 特定の感染症が癌の原因となることがあります。ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がんの原因となり、B型・C型肝炎ウイルスは肝がんのリスクを増加させることがあります。
- 生活習慣
- 喫煙、過度の飲酒、食生活、運動不足、太りすぎ・痩せすぎなどは、癌の発生に関係する要因とされています。関係する要因は癌の種類によって異なります。
- 年齢
- 年齢も癌のリスクに関連しています。 癌は一般的に年齢が上がるにつれて発症しやすくなります。
- 医療上の関与
- 放射線療法や一部の抗がん剤など、医療的な行為が後の発がんリスクを増加させることにも注意が必要です。
原因による癌の発生について
癌の発生メカニズムは非常に複雑で多様であり、一般的には「癌の遺伝子変異説」で理解されています。
癌の主な原因は、正常な細胞のDNAに生じた異常な遺伝子変異です。
これらの遺伝子変異によって、細胞の制御機構が破壊され、がん細胞が異常な挙動を示すようになります。
がん関連遺伝子の主要なクラスには、がん抑制遺伝子(腫瘍抑制遺伝子)とがん促進遺伝子(がん遺伝子)が含まれます。
がん抑制遺伝子は細胞の正常な増殖を制御し、がん促進遺伝子は細胞増殖を促進します。
例えば、がん抑制遺伝子が失活し、がん促進遺伝子が活性化されると、細胞の増殖を制御する仕組みが乱れ、異常な増殖につながります。
3.癌に対する西洋医学的治療
癌の治療方法は、がんの種類、進行度、患者の一般的な健康状態などに依存します。 癌の治療は通常、以下の主要な方法を組み合わせて行われます。

手術(外科的処置)
手術は癌腫瘍を切除または除去するために行われます。
手術は、癌の種類や広がりに応じて選択されます。治療方針は、身体の状態や他の治療法も含めて担当医と相談します。
放射線療法
放射線療法は、高エネルギーの放射線を用いて癌細胞を破壊する治療法です。
癌細胞に照射された放射線は、そのDNAを損傷し、細胞の増殖を阻害します。 放射線療法は単独で行う場合や、手術・薬物療法と組み合わせる場合があり、腫瘍の縮小や制御に用いられます。
化学療法
化学療法は、抗がん薬を用いて癌細胞を攻撃する治療法です。
これらの薬物は体内に循環し、全身に存在する癌細胞に作用します。化学療法は一定の間隔で繰り返し行われることが一般的で、がんの種類に応じて異なる薬物が使用されます。
免疫療法
免疫療法は、免疫の働きを利用して癌細胞を攻撃する治療法です。
免疫チェックポイント阻害薬など、効果が確認された治療がありますが、対象となる癌や治療法は限られています。
研究段階の治療もあるため、効果や副作用、治療の適応を担当医に確認することが大切です。
分子標的療法
分子標的療法は、がんの増殖などに関わる特定の分子を標的とする薬を用いる治療法です。
正常な細胞にも影響し、副作用が起こることがあります。薬が適しているかどうかを確認し、治療中は医療機関で状態を確認します。
ホルモン療法
ホルモン療法は、ホルモン依存性のがん(例:乳がん、前立腺がん)に対して使用される治療法です。
ホルモン制御剤を使用して、がん細胞の成長に必要なホルモンの生産や受容体への結合を阻害します。
4.癌の治療中・療養中の漢方相談
漢方では、症状だけでなく体質や生活習慣も含めて身体の状態を考えます。当薬局では、癌の治療中や療養中の体調について、お話を丁寧に伺いながらご相談に応じています。

癌と免疫の関係
身体に備わる免疫には、癌細胞を認識し、攻撃する働きがあります。
一方、癌細胞が免疫による攻撃を回避し、増殖することもあります。
免疫が癌に関わることと、「免疫力を高めれば癌が治る」ということは同じではありません。治療の効果や適応は、治療法ごとに確認する必要があります。
- 抗原提示細胞
- 抗原提示細胞(通常は樹状細胞やマクロファージ)は、異常な細胞から得られた抗原をキラーT細胞やヘルパーT細胞に提示する役割を担っています。これにより、T細胞は癌細胞を特定できるようになります。
- 免疫細胞の関与
- 免疫系には様々な免疫細胞が含まれており、主要な役割を担っています。
- キラーT細胞
- 癌細胞を直接攻撃し、破壊します。キラーT細胞は特定の抗原(癌細胞に特有の分子)を認識し、それに対して攻撃を開始します。
- ヘルパーT細胞
- 免疫応答を調整し、他の免疫細胞の活性化を支援します。
- NK細胞
- 癌細胞などを認識し、攻撃する役割を担います。
体調に合わせた漢方相談
当薬局では、症状とともに食事、睡眠、疲れやすさなど、日々の体調を伺います。
漢方で大切にされてきた、身体全体の状態を見る考え方を相談に取り入れています。
漢方薬の適否は、症状や体質、治療内容、併用薬によって異なります。
漢方薬だけで癌の治癒や進行の抑制を約束するものではなく、担当医による治療を踏まえて検討します。
- 身体の状態を伺う
- 東洋医学では、身体全体の状態やバランスを重視します。症状の経過や生活習慣も伺い、相談内容を整理します。
- 食事や休養などの養生についても、治療中の体調や医療機関からの指示に合わせて一緒に考えます。
- 治療内容や飲み合わせを確認する
- 治療中のお薬や健康食品についても伺い、漢方薬との飲み合わせを確認します。
- 漢方薬にも副作用が起こることがあります。服用中に体調の変化があれば、医師や薬剤師にお知らせください。
- 使用する漢方薬は担当医と共有し、医療機関での治療と合わせて検討することを大切にしています。
治療中のつらい症状についてのご相談
癌の治療では、副作用が出ることがあります。その種類や程度は治療内容や個人によって異なり、医療機関では症状を予防・軽減するための支持療法も行われます。
そうなった時に一番つらい思いをされるのは患者様ご自身です。
当薬局でも、治療中のつらい症状や体調を伺い、漢方薬を使用できるかどうかを個別に検討します。気になる症状は、まず治療を受けている医療機関にもご相談ください。
癌に対する漢方薬アプローチは個人個人のコンディションにより詳細に異なりますが、この記事では概要部分のみを記しております。
癌にお悩みの場合は、ご相談頂ければ親身になってお客さまの状態に合わせた漢方相談・養生のご提案をさせていただきます。
辛い症状にお悩みの場合は、是非ご連絡ください。漢方をご購入の場合はお薬代のみ、ご相談だけの場合は3000円の相談料をいただいております。
鷺岡漢方堂薬局では、お客さまのお話をしっかりと受け止め、お客さまが不安なく話しやすいお店を目指しております。
もし、病や症状で辛いと感じる場合は、ラインでもお電話でも構いませんのでお悩みを打ち明けて下さい。
参考情報
癌の治療内容や服用中のお薬、使用を検討している漢方薬は担当医と共有してください。医療機関での治療を自己判断で中断せず、気になる症状は担当医にご相談ください。
執筆:鷺岡志保(薬剤師)
鷺岡漢方堂薬局 店主
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